聴力の重要性

五感の中で最も失いたくない感覚はどれですか?
というと、たいていの人は視覚と答えるのではないでしょうか。
それは至極当然の答えです。
今まで当たり前に見えていた目が見えなくなったら、恐くて歩くこともできません。
また、人生の支柱の大部分を失うことでしょう。
失明した人の半分は自殺を考えると言われますが、無理もないと思います。

しかし、視力よりも聴力が重要だという見方もあります。
なぜなら、聴力には視力とまったく異なる重大な役割があるからです。
以下、聴力の役割を考えてみたいと思います。

言葉を話せるようになる

人の言葉を聞くことができるのは耳だけです。
生まれたばかりの赤ちゃんは言葉を理解できませんが、周りから聞こえてくる大人の話し声を聞くうちに、だんだんと理解して話せるようになっていきます。
生まれつき耳が聞こえなかったら、果たして私たちは言葉を話せるようになったでしょうか。

耳が使えなくても、目で本などを読むことはできます。
しかし、視覚から得た言葉だけでは、それを話すことはできないでしょう。
中学や高校で英語を学んできたと思いますが、どれだけ英語の成績がよくても一向に話せるようにならないのは、聞いたり話したりしていないからです。
特に日本の英語教育は、「読む」「書く」ばかりが中心で、「聞く」「話す」という最も初歩的なことが抜けています。

このように、目で見た言葉だけでは、それをうまく使えるようにはならないのです。

人の気持ちを理解できる

私たちは日頃、他人とのコミュニケーションを何によってしているでしょうか。
最近では、メールでのやり取りがほとんどという人もいるかもしれません。
しかし、本来の人間どうしのコミュニケーションは会話によるものが基本です。

視力がなくても、人の言葉を聞くことはできます。
それにより相手の気持ちを理解し、私とこの人はどのような関わりがあるのか、この人のために私は何をするべきだろうか、ということを考えることができます。
しかし、聴力がない場合はどうでしょうか。
視力によって相手の表情や口の動きを見ることはできても、言葉が聞けないのでは相手の気持ちを理解することは困難です。

実際にあなたが会話をする場合、目が見えない人と耳が聞こえない人では、どちらが大変かを考えてみて下さい。
目が見えない人には、普通に話すだけで言いたいことが伝わります。
一方、耳が聞こえない人には、手話などを使って話さなければなりません。
それが無理ならば、紙に書いて読んでもらわなければなりません。
話したいことがあるたびに、そんなことをするのは非常に大変です。

聴力は、人の気持ちを理解し、次の行動を起こすための重要な道具なのです。