難聴の治療

難聴はその種類によって治療法がさまざまあります。
ここでは、自宅療養ではなく、病院で本格的な治療をする場合の例を紹介しておきます。

伝音性難聴の治療

伝音性難聴の主な原因は、外耳道や鼓膜に発生する疾患のため、病院で治療することが十分可能です。
従来は手術の際に長期入院が必要でしたが、最近では短期入院での手術が可能になってきました。
その背景には、フィブリン糊という人体用の接着剤を用いた鼓膜形成術、キチン膜やコラーゲンスポンジなどによるパッチ術で、鼓膜の穴を簡単に閉じられるようになってきたことがあります。
ただ、伝音性難聴であっても、症状がひどく、補聴器を使ってもほとんど聞こえないような場合もあります。
その場合には、人口中耳という高感度の補聴器を中耳に植え込む手術も行われます。

感音性難聴の治療

感音性難聴は、音の電気信号を脳に伝達する聴神経、または脳そのものに異常がある場合などに起こります。
感覚や行動を司る中枢部分に疾患があるため、治療は難しいとされています。
将来的には遺伝子治療が行える可能性があります。
現在、特発性進行性感音難聴の治療には、他の感音性難聴と同様に、血管拡張剤、代謝賦活剤、ビタミン製剤などが使われます。
また、難聴の急性進行期にはステロイド剤が使われます。
一般に、特発性進行性感音難聴の進行は緩やかであり、薬剤の効果を正確に判定することは困難なため、これらの治療薬の有効性は明確ではありません。

混合性難聴の治療

一般的には、感音性難聴と伝音性難聴の治療法を組み合わせて行うケースが多いようです。

突発性難聴の治療

ステロイドホルモンの漸減療法を、血漿増量剤の点滴と組み合わせて行うことが多いようです。
ビタミン溶液、ATP製剤溶液なども同時に加えます。
約7~10日間、毎日点滴を施行し、自覚症状と聴力検査で改善具合を評価します。
以上の治療で聴力が回復しない場合は、難治性の突発性難聴と考えられるため、特殊な治療法として、高圧酸素療法や、星状神経節ブロックなどを検討します。
ステロイド治療によって血糖値が上昇し、糖尿病が急に悪化することもあります。
糖尿病患者の場合は、内科の医師による血糖値のコントロールを同時に行わなければなりません。

先天性難聴の治療

現状では、先天性難聴を完全に治療する方法は確立していません。
しかし、わずかでも聞こえている状態であれば、生後7~8ヵ月くらいから、乳幼児用の補聴器を使用して聴能訓練を行います。
音がまったく聞こえない場合でも、言語の概念を視覚や触覚によって習得することができれば、将来的に言葉を発することは可能になります。

急性低音障害型音感難聴の治療

薬物治療や自律神経の訓練が行われます。
詳しくは急性低音障害型感音難聴のところを参照して下さい。

鍼灸治療法

最近では、難聴を鍼灸治療するケースも見られています。
主に耳鳴りや精神的難聴、ヒステリー性難聴などの患者に効果があるようです。
刺鍼によって内耳血管の透過性を増やすことにより、聴覚抹消神経の栄養状態が改善されます。
すると、損傷部分のある機能を回復させることができます。
同時に、患者によっては、蝸牛電位の振幅を増大させ、蝸牛の機能向上をさせる効果があります。
しかし、なぜこのようなことが起こるかについては、現在でも解明されていないようです。